身体の中にある時計

○○を食べると、健康になる!

○○は食べてはいけない。

この運動がカラダを変える!

 

健康情報は数多くありますが、何か大切なことを忘れていないでしょうか?

昔から当たり前のように言われてきたこと。

 

早寝早起きが、健康の秘訣。

 

オーソドックスすぎて鼻で笑われそうですね。

しかし、近年「体内時計」の研究が進み、体内には多くの「時計遺伝子」が存在してることがわかってきました。「時計遺伝子」とはその名の通り、時を刻む遺伝子です。その時計遺伝子が、脳だけではなく、血管、心臓、肝臓、腎臓、皮膚、粘膜など、全身60兆の細胞のほとんどにあることが確認されています。

つまり、私たちの身体は「時」の影響を大きく受け、それぞれの器官が時を刻みながら、全身がオーケストラのようにシステマティックに動いているのです。

 

素晴らしい健康的な食べ物も、「いつ、食べるか?」で効果が変わります。

がんばっている運動も、「いつ、やるか?」で効果が変わります。

 

あなたがもし、健康な心と身体を手に入れ、高いパフォーマンスを発揮したいのなら、身体が刻む「時」を味方につけるべきです。

 

髪の毛にも、時計遺伝子がある

 

休日。朝起きて、顔も洗わずパジャマのままでいつまでも過ごしたことはありますか?どんな気分でしたか? なんとなく、ぼんやりした感じはしませんでしたか?

実は、皮膚や髪の毛、口腔内や舌にも時計遺伝子があります

朝、顔を洗うと皮膚への刺激になり、皮膚にある時計遺伝子が一日の始まりを察知します。髪をとかすと、髪の毛にある時計細胞(時計遺伝子が存在している細胞)が朝のスイッチを入れます。

味わったり、歯を磨いたり。このような朝の習慣は全て体内の時計遺伝子を刺激し、体内時計をカチっと朝に合わせる働きがあるのです。

 

起きてからダラダラと過ごし、11時頃にようやく身支度をするとどうなるでしょう?

体内時計は「11時が朝」と時計合わせをするので、一日の始まりが遅くなります。時間がずれているので、夜寝る時間も遅くなりがち。また、身体の他の部分にある時計と時間が合わなくなります。身体のシンフォニーが不協和音を奏でるかのように「なんとなくだるい」「調子が出ない」「眠りが浅い」「便秘」などの不調となって現れてくるのです。

 

全身の臓器も時で動く

マウスを使った実験では、時計遺伝子が正常に働いているとガンになりづらかったり、ガンの増殖を防いだりすることが明らかになりました。逆に時計遺伝子を取り除くと、ガンになりやすくなることも発見されています。

これらの研究結果は、規則正しい生活を送ることがガンを防ぐことを示しています。

他にも様々な時計遺伝子と健康との関係が明らかになっています。

 

●ある時計遺伝子(BーMal1)を除去したところ、自律神経の働きが低下し、本来2年生きるはずのマウスが2ヶ月で死んでしまった。

●ある時計遺伝子(Per 2)が変異したマウスは、骨の異常や血管の障害が起こり、老化が早く進んだ。

●時計遺伝子を体内から取り除き、ガンが大きくなったマウスに再び時計遺伝子を戻すと、ガンが縮小した。

●1日20時間の生体リズムに狂わせたマウスは、心臓の細胞が傷付き心不全を起こしたが、生体リズムを24時間に戻したら、心不全が快復に向かった

 

まだ、研究段階ではありますが、体内時計のリズムを整えることで、病気が治ったり、寿命が伸びたり、老化を防いだりする可能性が十分にあるのです。

 

現代に生きる私たちは、ワークスタイルもライフスタイルも様々。いつでも何でもできる大きな自由を手に入れましたが、数万年の間に構築された身体のリズムはそうそう簡単には変わりません。

 

決まった時間に起き、決まった時間に寝る。

食事を決まった時間に摂る。

 

そんな言い古された健康法に、今こそ注目すべきです。

どんな食事をいつ食べたらいいのか?

どんな運動をいつやるといいのか?

また、私たちの身体には24時間だけでなく、もっと長い時間や短い時間のサイクルでも動いています。

 

この「体内時計」の神秘。私自身も今、最も興味ある分野なので、引き続きブログでも紹介していきますね!

参考文献: